
こんにちは、
イーゴンです。
今まで、ビデオ店でたくさんのビデオを借りてきた。そりゃあもうたくさん。
ビデオテープもいっぱい持っていた。主に、テレビ番組を録画したテープ。
VHSが好きだった。磁気テープが好きだった。
小学校高学年くらいから、レンタルビデオ屋さんに通い始め、
映画やアニメなどのビデオを借りて、よく観ていた。
「ビデオランド」という、となり町の小さなレンタルビデオ屋さん。
お店のカウンターには、いつも、ソバージュヘアーのお姉さんがいた。
飯島直子風のお姉さんだった。
ビデオ1本600円。2本借りると1本オマケしてくれた。
いつも、3本借りて1200円。
子供のお小遣いでは、そうそう頻繁には借りれなかった。
なので、私は、自分がアレルギー性の鼻炎だったのをいいことに、
耳鼻科に行くお金を母からもらっては、医者には行かずにビデオを借りていた。
週末は忙しかった。120分のVHSを3倍モードで映画を録画。
金曜ロードショウは水野晴朗。
土曜ゴールデン洋画劇場は高嶋忠夫。
日曜洋画劇場は淀川長治。
週末ごとにビデオアーカイヴが増えつづけた。
中学生になると行動範囲も興味範囲も広がった。高校生になるともっとだ。
私はビデオ屋があれば入り、会員になっていった。
高校を卒業し「浪人生」の振りをしてぶらぶらしている時期、
私は「ビデオワン近江店」に通い詰めた。
新作映画、名作映画、ドラマ、エロ、その他いろいろ。
もう、適当に借りていた。
自分の好きなものなんて借りない。出会うがままに借りた。
この習慣は、その後5.6年続いた。
映画やドラマならまだしも、ハウ・トゥ系のビデオとか、
マイナースポーツのビデオ。知らないアイドルのイメージビデオ。
エロ系のビデオコーナーでも同様。
多様なジャンルを所狭しと横断した。
エロビデオには実用性が重要であるが、
これもまた出会うがままに借りた。新しい扉ノックしつづけた。
「ビデオワン近江店」は、2階フロアがすべてエロビデオ。
初めて行った時、まだそれ程免疫が無かった私は、めまいがした。
実用として受け入れられないものも、多くあった。
「こいつは、大仕事になるな。」そうおもった。
好奇心旺盛だった私は、片っ端から見た。
もちろんエロ以外のジャンルとも平行してレンタルした。
フェリーニとバクシーシとコイサンマンを同時に借りた夜もあった。
ベルトリッチとアロマ企画と花王名人劇場を借りた夜もあった。
あるアイドルそっくりさんのAVと、
そのアイドルの主演映画と、
その映画のタイトルをモジッたタイトルのAVと、
そのAVに出てた女優に似てる芸能人が出てる映画を、
一度に借りた事もあった。
こうなってくると、どれが本物で、どれがAVだったのか、
もはや記憶すらあいまいだ。
SM、痴女、ロリ、熟女、デブ専、ニューハーフ
レイプ、ゲイ、スカトロ、アニマル、フィスト
例えばAVの中でも、暴力的な要素が強いジャンルの中には、
こいつはどうだろうと思うような凄まじいものも存在する。
そのうえ、それが男同士のゲイムービーである場合もある。
しかもそこに、動物が絡んでくると、もう大変。
私にとっては、夜中にうなされるほどのショック映像であった。
ジャンル的には、「ホラー」なんじゃないかと思った。
そう思うと、逆に「ホラー映画」のコーナーが、
ある一部の人にとってはAVコーナーである、ということになり、
テレビで放映される「ムツゴロウ~」や「志村動物園」も
ある一部の人にとってはたまらない映像である、ということになる。
人間の性的嗜好は多種多様であり、その奥は深い。
つまり、レンタルビデオ店にあるものは、全部が「AV」なのである。
アダルトビデオは、必ず誰かの欲望が前提になって制作されている。
その誰かの欲求を満足させるために存在する。
欲求のはけ口として。あるいは愛の代替として。
それはたとえば、芸術という名のもとに制作される、
独りよがりで難解な映画よりはずっと存在価値が高い。と、私は思う。
あらゆる映像作品は、製作者の意図にかかわらず、
すべてがポルノムービーになる宿命を背負っているという事を私は知っている。
以来、私はテレビや映画など、何を観る場合においても、
「これ観て興奮してるやつが、今この瞬間、絶対に存在している!」
という事を実感している。
まあだから、どうという事は無いけど、こんなことを考えている私は、結構なサディスティック人間か、さもなくはバカか、どっちかでしょうね。どっちでもいいですけどね。